その場所は、
これから来る男を待つ女達で溢れている。
ここに来た時間が早すぎたのか、
キョロキョロしながら行ったり来たりして、
辺りを見回している女がいた。
少し離れた所から、いつ男が来るのか
様子を伺っている様だ。
奥から若い男がやって来ると
1人の女が男に近づいた。
囁くように何か言っている。
「 ❤ ❤ ❤ ❤… 」
ここまでは声は聞こえない。
男は、ちょっと困った顔で、
でも ちゃんと応じている。
遠くから見ているだけの私。
さあ、勇気を出して行くんだ!
「お国の為に行って参ります」
と…
言わんばかりの覚悟で、
たむろしている人達に加わった。
すると、
横からおばちゃんが、
「 これも安くなる?シール、貼ってぇや 」
「 …はい 」
あっ!棚には残ってない
カンパチのお刺身じゃん。
そ、そんなん、していいの?
夕方になると、生鮮食品やお惣菜に
割引シールが貼られる。
このおばちゃん、どうやら
欲しい物をカゴにキープしていた様だ。
取られない様に。。セコイ!
そしてお兄ちゃんが来たら、
すかさず出す!
で、
「 安くなるシール、貼ってぇや 」
って、おいっ!( ̄^ ̄)ゞ
おばちゃんの図々しさに脱毛、いや、脱帽。
鮮魚コーナーを後にして、
惣菜コーナーに行ってみると、
仕事帰りのサラリーマンぽい男性もちらほら。
1人暮らし?
出張?
奥さんのお使い?
少し寂し気に見える、その後ろ姿…。
ああ、
夕暮れ時のスーパーは、
今まで定価で買っていた人より
安く買えるささやかな喜びを味わえる。
そして、
人間の醜さと人生の悲哀を感じさせてくれる、
そんな場所だった…。
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結局、買ったのは特売の魚。
297円って、やっすっ (。-∀-)
お刺身とお汁にして食べようっと。